2週間経った委任状はクーリングオフできるか?
先日、委任状を書いてから既に2週間経ってしまった消費者の方(ここではAさんとします)から、「まだクーリングオフできますか?」という相談がありました。
結論から先に言いますと、可能です。
この方は関東地方にお住まいの方ですが、2週間前にあるプロパンガス会社のセールスマンの訪問を受け、単価270円という「激安価格」に魅力を感じて委任状を書いてしまいました。その後インターネットでいろいろその会社のことを調べてみたところあまり評判が良くなく、委任状は書いてしまったもののその会社にするための変更工事に踏み切れず、日程を何回か先延ばしにしてきたようです。しかし、引き延ばししてきた最終的な工事日が間近に迫ったために相談をしてきました。
プロパンガスの訪問セールスの場合、クーリングオフの期限は8日間です。この基準からすると2週間も経った時点でクーリングオフは不可能なように思えますが、実は「委任状」自体は契約書ではなく「申込書」に過ぎません。申込みはしたものの契約の締結には至っていませんから契約は成立しておらず、8日間のルールには縛られないのです。
ですからこの場合は、「申込みの撤回」か、または「委任の取り消し」というクーリングオフをすることになります。「契約の解除」という意味のクーリングオフではありません。法律的には無条件でしかも一方的に「申込みの撤回」はできますが、Aさんとしてはズルズルと延期を繰り返してしまったことへの責任感から、ガス会社への丁重なお詫びと共にクーリングオフをお願いしたそうです。
クーリングオフが終わったら、次は当協会が優良なガス会社をご紹介するだけです。当協会として、Aさんの居住地にほど近いところに営業所を持つ会員のガス会社をご紹介しました。この会社の料金体系は、基本料金が1,500円。1立方メートル当たりの従量単価が330円ですので、従来の単価と比較してちょうど100円下がることになり、大変喜んでいただけました。
今回Aさんは当協会へ相談のお電話をいただく前、目前に迫った工事日のことが気がかりで、居ても立ってもいられなかったようです。新しいガス会社からは「いつ工事しますか?」と頻繁に催促されるし、一度不信感を持ってしまったからには契約はしたくないし、誰に相談して良いのかわからないし、落ち着かない気持ちだったのは良くわかります。
無事にクーリングオフが終わり、切替工事も終わった際には正直ホッとしたそうです。
多くの方は、訪問販売のクーリングオフが出来るのは8日間と覚えていると思いますが、あくまで契約を締結した日が起点になります。委任状は単なる申込書であり、契約書ではないことをご理解ください。