プロパンガスは安全か?爆発の危険性は
プロパンガスって本当に安全なの?ガスボンベを見て爆発しないのかと不安に感じる方のために、その安全性と爆発やガス漏れ事故の危険性について調べてみました。ガス器具の安全チェックを心掛けて未然に事故を防ぎましょう。
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プロパンガス (LPガス)は安全か?どんな時に爆発するのか危険性を調べてみた
プロパンガス (LPガス)はボンベが倒れると爆発するの?と危険に感じていませんか。どんな時に爆発が起きるのか事故の実例を挙げながらLPガスの危険性について見ていきます。家庭において事故を未然に防ぐための安全対策についてもあわせて解説します。
プロパンガス(LPガス)は危険なの?
身近にあるプロパンガス(LPガス)のボンベを見て危険を感じるという声を聞くことがあります。しかし、LPガスの事故のほとんどは配管やガス器具の不備などの原因によるものです。これは都市ガスでも起こり得ます。
LPガスボンベの中に入っているプロパンが酸素と結合し、そこに火があると反応して爆発します。
LPガス単体で爆発は起こりませんが、ガス機器は空気(酸素)が不足したままで使用していると不完全燃焼を起こし、CO(一酸化炭素)が発生します。COは毒性が強く、少し吸い込んだだけでも、頭痛・吐き気、死に至る危険性があります。
しかし、ガスが充満していても、空気を入れ換えればガスの密度が下がるので爆発を防ぐことができます。つまり、LPガス自体が危険ということではなく、正しく使っていれば『LPガスは安全なガス』といえるでしょう。
プロパンガス(LPガス)事故の件数と特徴
実際に、過去のデータに基づいてLPガス事故の件数と特徴を調べてみました。経済産業省の「液化石油ガス関係事故年報」によると、2019年に発生したLPガス事故は198件です。
死者0人、負傷者31人、CO中毒事故は0件と、いずれも液化石油ガス法が公布された1967年以降最も少ない数になっています。
LPガス事故を種類(現象別)で見てみると、2019年の事故原因は①漏えい、②火災、③漏えい爆発、④CO中毒・酸欠の順に多く発生していることが確認できます。
<現象別事故件数>
- ・
- 漏えい:LPガスが漏えいしたもの(火災に至らず、中毒・酸欠による人的被害がなかったもの)
- ・
- 漏えい爆発:LPガスが漏えいしたことにより爆発が発生し、または爆発による火災に至ったもの
- ・
- 火災:LPガスが漏えいしたことにより火災に至ったもの
- ・
- CO中毒・酸欠:LPガス消費設備の不完全燃焼、またはLPガスもしくは排気筒などからの排気ガスの漏えいにより一酸化中毒または酸素欠乏の人的被害があったもの
- 参照:
- 経済産業省 2019年度「液化石油ガス関係事故年報」
このような事故原因を知った上で、家庭でも起こりうる爆発事故を考えてみましょう。
プロパンガス(LPガス)はどんな時にガス爆発や漏えい事故が起きる?
そもそもガス爆発とはどのような現象なのでしょう?
ガス爆発とは可燃性のガス(継続的に燃焼する性質のある気体)が引火して起こります。LPガスや都市ガスの爆発については、ガスボンベに入っているLPガスが漏えいしたことにより酸素と結合し、そこに火があると反応して爆発が起こります。
最新の大規模事故事例として2020年7月30日に起きた福島県郡山市内の飲食店での爆発事故を紹介します。
店舗は鉄骨部分の骨組みを残して大破し、周辺の銀行、高校等の窓ガラスや壁面を損傷するなど、広範囲(半径570m)に被害が及びました。この事故による人的被害は、死者1名、重傷者2名、軽傷者17名です。
店舗には屋外にプロパンガスのボンベ6本が設置されており、配管の腐食部分からガスが漏えいし、何らかの理由で着火したことが原因だとみられています。
事故当日にガスの臭いがしていたことが分かっていますが、設置されていたガス漏れ警報器が鳴動したことを認知した者はおらず、また、ガス漏れ警報器の電源等、作動する状況であったかどうかは不明となっています。
参考:「福島県郡山市爆発事故についての報告」(2020年12月11日 経済産業省 産業保安グループ ガス安全室)
ガス爆発の威力の凄まじさが想像できるかと思います。
続いて、「液化石油ガス関係事故年報」によるガス漏えいによって発生した事故の傾向をまとめてみました。
2019年のLPガス事故の約半分以上は、ガス使用機器を使用する側(消費者側)で起きており、発生建物の約6割が住宅(一般住宅及び共同住宅)で発生しています。
事故件数比率については、消費者の不注意によるものが約28%、ガス販売事業者の不適切な処理にかかわるものが約17%です。
事故原因別比率については、腐食・損傷によるものが約49%、接続不良によるものが約12%の割合になっています。
結論からすると、高い割合で起こりやすいLPガス事故は、「消費者の不注意によるガス漏えい」ということになります。LPガス事故の主な発生状況を整理すると以下の通りです。
- 原因者:一般消費者の不注意
- 建物用途:一般住宅
- 事故種別:漏えい(火災に至らず、中毒・酸欠による人的被害がなかったもの)
- 発生個所:給配管などの消費設備
- 原因:腐食・損傷
では、一般家庭におけるLPガス事故を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。
プロパンガス(LPガス)の爆発やガス漏れ事故はどう防ぐ
プロパンガス(LPガス)単体で爆発することはありませんが、取り扱いを誤ると火災や爆発などの事故につながることが分かりました。
特に、ガス設備は長年にわたって使い続けると経年劣化が起こります。LPガス事故を未然に防ぐためには、定期的に定期保安点検を行うようにしましょう。
<ガス使用上の注意>
- 点火は必ず目でチェック
- 点火したつもりでもついていないことがあります。 炎を確認してください。
- コンロから目を離さないで
- コンロから離れる時は、火を消しましょう。
- 換気をしましょう
- ガスを使用中は換気扇を回しましょう。普段も時々窓を開けて換気します。
- ゴム管は時々点検、2~3年目安で交換を
- 固くなっているものやひび割れ、全体に白っぽくなっているものは、必ず交換してください。
- 青い炎の状態で使う
- 赤っぽい炎は、不完全燃焼をしている場合が多く危険です。
- 外出・就寝時にガス栓確認
- ガスご使用後は器具栓を閉め、口火の消火も確認しましょう。
ガスが充満していても、空気を入れ換えればガスの密度が下がるので爆発を防ぐことができます。LPガスの使用上の注意点を正しく理解して未然に事故を防ぎましょう。
LPガスは本来無臭ですが、ガスが漏れた時にすぐに気づくように、ガス特有の臭いをつけています。ガス臭いと感じたら、以下の処置をした後、緊急の連絡先かLPガス販売店に連絡しましょう。
<ガス臭いと感じたら>
- 火気は絶対使用しない
- 着火源となる裸火、換気扇、電気などのスイッチにも絶対手を触れないでください。電気のスイッチは切る時にも火花が出ます。切ることもしないでください。
- ガスを外に逃がす
- 戸や窓を大きく開けてください。
※LPガスは空気よりも重いため、低い所に溜まったガスにもご注意ください。
- すべての器具栓を閉める
- ガスの元栓、ボンベ(容器)バルブを必ず閉めてください。
緊急時の連絡先は24時間無料で対応しています。万一のためにも緊急時の連絡先はあらかじめLPガス販売店に確認しておくことをおすすめします。
ガス販売店の安全面で心配なことがあれば、「プロパンガス料金消費者協会」に相談するのもよいでしょう。
プロパンガス (LPガス)とは?特徴と使用方法を紹介
プロパンガス(LPガス)は石油ガスを液化したもので、正確には液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)といい、この頭文字を取って『LPG = LPガス』と呼ばれています。
家庭で使われるLPガスの主成分の多くはプロパンなので、LPガスはプロパンガスとも呼ばれます。
まず、LPガスの強みといえる特徴を理解しておきましょう。
プロパンガス (LPガス)の特徴
- 災害に強い
- 持ち運びが容易
- 地球に優しい
- 無色無臭
- 発熱量が高い
LPガスは災害に強い
プロパンガス(LPガス)は、導管で供給されるのではなくガスボンベで配送される「分散型エネルギー」で、都市ガスよりも災害時の復旧が早いことで知られています。
災害時にガス供給が停止した場合も、配管などの調査・点検が終了すればすぐガスを使えるのが利点です。
2011年3月11日に発生した東日本大震災においても、被災地である岩手・宮城・福島三県におけるLPガスの全面復旧は、41日後の4月21日でした。
これは都市ガスの53日や電力の99日に比べてはるかに早い復旧です。
また、LPガスのボンベは「軒下在庫」として各家庭に常時ストックされています。通常、ボンベは2本あるので1本目を使い切ったとしても、残りで約1カ月以上ガスを使うことが可能です。
このように、自宅に予備がある点もLPガスが災害に強いエネルギーといえます。
LPガスは持ち運びが容易
LPガスは容易に液体にすることができ、体積は気体時の250分の1となるので、ボンベに充てんして全国どこでも持ち運ぶことができます。
このため、全世帯の半数近くにあたる2,400万世帯で使用されています。供給エリアは離島や山間部を含めほぼ日本全国土をカバーしています。
またLPガスは、持ち運びが容易という特性から、災害時における被災地での調理や給湯、暖房のエネルギーとして役立っています。頻発する自然災害に備えて必要なエネルギーとして再認識されています。
LPガスは地球に優しい
LPガスは地球温暖化の原因とされるCO2(二酸化炭素)の排出量が他の化石燃料に比べて少なく、酸性雨に対しても窒素分を全くなく、硫黄分もほとんど含まないことから、環境に優しいエネルギーといえます。
また、オゾン層の破壊につながる特定フロンに代わる物質として、エアゾール用としてLPガスが使用されています。
LPガスは無色無臭
LPガスは本来臭いがありません。しかし、ガス漏れが発生したときにわかるよう、タマネギが腐ったような臭いがつけてあります。LPガスが空気中に漏れ、その濃度が1,000分の1という微量なものでも臭いを感じるようになっています。
臭いの成分はガスが燃焼すると無臭になるので、LPガスが正しく使われている限り臭うことはありません。
LPガスは発熱量が高い
LPガスの発熱量は、1立方メートルあたり約24,000kcal、都市ガスの発熱量は約10,750kcalです。LPガスは都市ガスに比べて約2.2倍の熱量となります。簡単にいうとLPガスは都市ガスの約2倍の火力があるということです。
中華、てんぷらなどの飲食店ではハイカロリーで手早く調理できることからLPガスがよく使われています。
プロパンガス(LPガス)設備の取り扱いルール
ご存知ですか?プロパンガス(LPガス)の設備や保管には、液化石油ガス法により守らなければならない基準やルールがあります。
LPガス設備の点検・維持管理については、LPガス販売店側と消費者側で範囲が定められていますから、しっかり覚えておきましょう。
「供給設備」と「消費設備」
「供給設備」とは、LPガスボンベからガスメーターの出口までの設備のことを指し、LPガス販売店が責任を持って点検と維持管理を行います。
「消費設備」とは、ガスメーターの出口からガス器具のことで、法律上の管理責任は消費者となります。
消費者の事故責任については、LPガスに関する事故が起きた場合、LPガス販売店に責任があれば賠償金が支払われますが、消費者にも過失がある場合、賠償金が減額になったり、支払われないケースもあります。
例としては、「ガス器具・設備の誤った使い方をしている」「LPガス販売店の点検・調査で異常が判明したにもかかわらず設備の修理・交換をしない」「消費設備の維持管理を怠っている」などが挙げられます。
ガスボンベの設置場所
プロパンガス(LPガス)の設置条件は、設置方法がボンベ、バルク容器、バルク貯槽によって、また貯蔵能力によっても異なります。ここでは、ボンベの場合について説明します。
10kg以上のガスボンベの設置場所については、液化石油ガス法によって屋外に設置することが義務付けられています。通常、以下の点を考慮しLPガスボンベの設置から点検・管理まではLPガス販売店の管理責任範囲となります。
- 火気から2m以上離す
- 車両など物が接触しない場所
- 風通しの良い屋外
- ガスボンベの転落や転倒を防ぐ
- ガスボンベの温度を40℃以下に保つ
- バルブなどが損傷を受けないように対策をする
LPガス販売店の保安サービス
LPガス販売店は、ガス事業法等に基づいて4年に1度「ガス設備定期保安点検」を行っています。すべてのガス利用者が対象です。ガス事業者が自宅を訪問し、ガス配管の漏えい検査、給排気設備(ガス風呂がま・ガス給湯器)などの調査を実施します。
調査対象の設備がすべて屋外にある場合は、立ち会いを必要としない調査となりますが、室内にある場合には立ち会いが必要です。
万一、消費者が点検の拒否をしても法的な罰則はありません。ただし、事故などのリスクを考えれば間違いなく点検を受ける方がよいでしょう。
ガス漏れ警報機の設置について
一般住宅でのガス漏れ警報機の設置についての義務化はされていません。しかし、ガス漏れをすぐに察知できるようガス漏れ警報機を設置することが推奨されています。
プロパンガス(LPガス)は、空気よりも重いガスで分散しにくいことから、かたまりになって流れ、床面をはうように広がるという特徴があります。
このことから、ガス器具を設置している部屋の床面から30cm以内、ガス器具から4メートル以内の場所にガス警報器を取り付けることが重要です。
安全管理体制の万全な安心できるガス会社を選ぼう
プロパンガス(LPガス)は、都市ガスと比べても全国的に料金が高く、消費者から不満の声が多いです。
よりお得なLPガス販売店を選びたいのはごく自然ですが、料金だけではなく、安全にガスが利用できるかが重要です。ガス設備に不具合が起きた時、迅速な対応ができる販売店でないと安心とはいえません。
そこでおすすめなのが、「プロパンガス料金消費者協会」が提供するプロパンガス(LPガス)の契約・切り替え無料相談サービスです。
LPガスのエキスパートがご利用者の地域、条件に応じて適正価格でプロパンガスを提供できる優良な販売店を探します。管理体制が万全なLPガス販売店をお探しの方は、お気軽にご相談ください。サービスは完全無料です。
<関連記事>:協会の概要
プロパンガス(LPガス)の爆発事故の事例からその威力がわかりました。正しく使わなければ事故は起きる可能性があるということです。
しかし、プロパンガスは正しく使用さえすれば危険なことはありません。ガスを使用する消費者の皆さんが正しくガスを扱う意識が大切です。日常のLPガスの取り扱い方に気を付けて、LPガス事故から身を守りましょう。
それでもガス設備の不具合やガス漏れが発生してしまったら場合は、速やかに緊急時の連絡先やガス販売店に連絡しましょう。
そして、ガス販売店の安全面で心配なことがあれば、「プロパンガス料金消費者協会」に問い合わせすることをおすすめします。
プロパンガスは安全か?爆発の危険性はまとめ
プロパンガス (LPガス)は安全なの?
プロパンガス (LPガス)はどんな時に爆発が起きるのか。事故の実例を挙げながらLPガスの危険性についてを安全対策とあわせて解説します。詳しくはこちら。
そもそもプロパンガス (LPガス)とは?
プロパンガス(LPガス)は石油ガスを液化したもので、正確には液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)といい、この頭文字を取って『LPG = LPガス』と呼ばれています。その特徴や取り扱い方をこちらでご紹介します。
プロパンガス(LPガス)を安全に使用できるガス会社選びのポイントは?
料金だけではなく、安全管理体制で万全なガス会社を選ぶことが重要です。その詳細はこちらでお届けします。
プロパンガス料金消費者協会
- ・1950年
- 群馬県伊勢崎市生まれ。
- ・1980年
- ソード株式会社(後の東芝パソコンシステム株式会社)に入社。
- ・2010年
- 一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会を設立して理事に就任。
- ・2011年
- 同代表理事に就任。現在に至る。
- ・2023年
- BSテレビ東京「マネーのまなび」で、不透明なプロパンガスの料金について取材を受け、番組内で解説。
設立当時、プロパンガスは都市ガスに比べて約1.8倍も高い状況にも関わらず、消費者が相談できる団体は皆無であった。そこで、鈴木は消費者の立場に立って、不透明なガス代について料金面から取り組む団体として協会を設立した。
それまで存在しなかったプロパンガス料金の“適正価格”の設定に奔走。大手供給業者の賛同を得て、設立10年足らずで”適正価格“を共通言語として全国展開を達成し、130社以上のプロパンガス会社とパートナー契約している。
現在はプロパンガスの”適正価格“の指標になる「CP速報」を毎月執筆し、ガス料金の適正価格での供給に貢献している。
プロパンガス料金消費者協会からのお知らせ
ガス料金削減コンサルタント、Webデザイナー・コーダー募集中!
一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会では、当協会の活動に必要なスタッフを募集しています。
詳細はこちらのURLをご覧ください。
https://www.propane-npo.com/recruit/