2014年6月のCP
6月CPは835ドル。夏なのに上がっています
6月29日に6月のCPが発表されました。例年ですとCPは春から夏にかけて少しずつ下がっていきます。そして秋から冬にかけて上がっていくというのがパターンですが、今年は少し様子が違います。十分下がらない内に早くも上昇基調になっています。この先が心配です。


市場の動向
今年の1月から4ヶ月連続で下落していたCPですが、5月・6月は逆に上昇しています。これにはいろいろな要因が言われているようですが、フレート相場(プロパンを中東から日本へ運ぶ際の運賃率)の高騰とウクライナ情勢が絡んでいるようです。私たち日本人にとってあまり身近な問題と捉えていないと思いますが、どういうことなのか検証したいと思います。
超複雑なウクライナ問題
ウクライナの東部2州であるルガンスク・ドネツク州の親ロシア派勢力とウクライナ政府軍の戦闘が終わる気配がありません。新しく選出された親欧米派のポロシェンコ大統領は、すぐに停戦に導きたいとしていますが簡単にはいきそうもなく不透明な情勢が続いています。
ウクライナは簡単にいうと東西に分かれています。西側は親欧米派の人たちが住みウクライナ語を主に話します。東側は親ロシア派の人がほとんどでロシア語がメインです。東部はロシアの支援を受けていて、西部は欧米の支援を受けています。大統領が変わる度にロシア寄りになったり欧米よりになったりして、その都度双方が争ってきました。
新大統領のポロシェンコ氏がこの問題をうまく収めることができれば、世界の原油相場も安定し、プロパンガスも同様になるはずですが、逆に戦闘が激化する方向になると原油も上がるでしょう。
待たれるシェールガスの輸入
中東やアジアなどで地政学的な問題が起こる度に原油相場が高騰します。原油から生産されるガソリンやプロパンガスも同じです。これが安定の方向に向かうためには、米国産シェールガスの輸入が始まることに期待が持たれています。
日米の間では、2017年から米国のシェールガスを日本に供給することが合意されていて、これを前倒しする案も浮上しているという報道もあります。ただ、米国のシェールガスを輸出するための基地は東海岸に多くが集まっていて、東海岸からだとパナマ運河を通過すれば日本へ20日程度で輸送できますが、パナマ運河を使わずに南米を経由して運ぶと2倍の40日以上もかかってしまいます。
現在の運河は幅32メートルの船舶しか航行できませんが、ガスを運ぶ大型タンカーは幅が40メートル以上もあります。そこで各国が支援してパナマ運河を拡げる工事を行っていますが、現在工事は遅れてます。2007年からスタートしたパナマ運河は2014年に完成予定でしたが、従業員の賃上げストライキなどが影響して工事が大幅に遅延しています。今の状況だと完成は早くても2年後の2016年春になるそうです。
この記事の執筆者

一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
