2015年6月のCP
6月CPは405ドルで5月比60ドル下落
5月31日に6月のサウジアラムコCPが発表されました。前月5月の465ドルに対して60ドル下落の405ドルです。過去の推移を見ると、2009年5月に400ドルを付けていますので、何と6年振りの安値です。これから不需要期に向かうためしばらくは上昇がないかもしれません。
WTIの上昇も頭打ち
WTI(米国産標準油種)がこのところ上昇していましたが、歯止めがかかったようです。一時40ドル台前半まで下がりましたが3月頃から反騰し、6月には60ドル手前まで上がりました。春先からの上昇の要因は、シェールオイルが減産体制に入ったことにありました。しかし、シェールオイルの掘削コストも、この半年で技術が大幅に進歩し状況が変わりました。低コスト体質になってきたのです。「原油安状態が長く続けば、シェールオイル産業自体が採算割れで破綻するであろう」というサウジアラビアの期待は外れてしまったようです。
6月5日のOPEC定例総会で生産据え置き
石油輸出国機構(OPEC:本部=ウィーン)は6月5日に総会を開き、昨年11月に決めた、日量3,000万バレルの生産目標を据え置きとすることで合意したようです。(6日付け産経新聞より)これで、CPが上昇する懸念は当面なくなったのかと思います。ただでさえ原油在庫がだぶつき気味なのに、これから需要も少なくなる夏を迎えるからです。
しかし、ISILの動き次第ではどうなるかわからない面もあります。米国は先日、ISILの戦闘員を延べ1万人殺害したことを発表しましたが、まだ2万人くらい存在しているようです。ISILも増員に注力しているようなので、いつ収束するのかまったく検討がつきません。このISILが大規模な事件を起こすだけで原油価格が高騰し、CPも連れ高になる可能性は大いにあります。
プロパンガス価格は下がらない理由
CPが下落して400ドル台が続いているのならば、プロパンガスの消費者価格ももっと下がってもいいのでは?と思っている方も多いと思います。しかし、現実にはあまり下がりません。問屋さんの話では、問屋さんに入ってくる価格がどうもCPに連動していないので、販売店にも安く卸すことができないようです。
理由は、高い時に元売りが仕入れた原油の価値が急落によってどんどん下がり、在庫評価損が大量に発生しているそうです。そのため、最近CPが下がっていると言ってもすぐには下げられないということのようです。確かに2014年度の石油元売り各社の決算はひどいようで、業界首位のJXホールディングスは、3,000億円近い赤字のようです。
「CPが上がれば値上げになるが、CPが下がっても値下げにはならない」とは何ともわかりにくい業界です。当協会としては、適正価格の普及にこれからも鋭意努力するしかないないのかもしれません。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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