2015年7月のCP
7月CPは395ドルで6月比10ドル下落
6月30日に7月のサウジアラムコCPが発表されました。前月6月の405ドルに対して10ドル下落の395ドルです。ただでさえ供給過剰気味であるのにも関わらず、ギリシャ問題や中国株式市場問題も加わり、原油安はまだまだ続きそうです。
基本的に原油は供給過剰状態
現在、世界の原油は供給過剰状態が続いています。大きな要因は3つあります。まず、米国のシェールオイル生産が大変な勢いで増加していること。2つ目は、中国の経済が一時の勢いをなくし減速していることがあります。最後の3つ目は、サウジアラムコの対シェールオイル戦略です。上の「サウジアラムコCP推移」グラフをご覧いただければわかるように、2013年の12月に1,100ドルを付けたあとは、ほぼ下がりっぱなしで当時の半分以下まで下がっています。この3つに加えて、様々な要因が日々新たに発生しています。
追い打ちをかけるギリシャと中国株式市場問題
7月5日、ギリシャは国民投票を行い緊縮策に圧倒的な「ノー」を突きつけました。当初の各種調査では反対と賛成が拮抗し、どちらが多数をとってもおかしくない情勢でした。しかし、結果的には賛成38.69%に対し反対が61.31%と、選挙前の予想を大きく覆す投票結果になったのです。
ギリシャがユーロ圏を離脱するのか残留するのか、EUがギリシャを支援するのか見放すのか、今後の動向は誰にもわかりません。しかし、ギリシャ問題の不透明で不安定な状況が、プロパンガスのCP下落に追い打ちをかけているのは事実のようです。
もう1つ、中国株式市場問題があります。中国株式市場は、過去3週間に30%も急落しました。6月中旬には最高値を記録しましたが、その後暴落しています。慌てた中国政府は、利下げや年金基金を株式投資に使うことを奨励するなど、さまざまな手を打っているのに思うような効果が上がっていないようです。
このように、原油の供給過剰状態に加えて、ギリシャ問題、中国株式市場問題などが重なって現在のCPの下落があるわけですが、プロパンガスの消費者価格はあまり下がっているとは言えないようです。
なぜだと思いますか?
ガス会社が販売価格を下げない理由
最近プロパンガス会社は儲かっているようです。なぜなら原価が半分くらいに落ちているのに、販売価格をほとんど下げていないのです。どうして下げないのか、その理由は夏にあるようです。
一般的に夏はガス会社にとっては鬼門です。使用量が増えないことが一番の理由です。つまりこの時期に原価が下がってくれるのは、ガス会社にとって大歓迎なのです。「折角原価が下がってきたのだから、この際少し儲けさせてもらおう」ということなのでしょう。良心的なガス会社ですら、本来50円下げてもおかしくないところを20円下げれば良い方です。ほとんどのプロパンガス会社はこのまま下げないで冬を迎えたいのでしょう。
中には、「原料費調整制度」という料金体系を採用しているプロパンガス会社もあります。これは、都市ガスと同じように、毎月料金を原価と為替レートに連動して上げ下げする会社のことです。この原料費調整制度のガス会社を利用している消費者なら、現在はCP安の最大の恩恵を受けていると言えます。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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