2015年12月のCP
12月CPは460ドルで11月比65ドル上昇
11月30日に12月のサウジアラムコCPが発表されました。前月11月の395ドルに対して65ドル上げた460ドルで、前月比16.5%上昇しました。これで10月から3ヶ月連続でプロパンガスのCPは上昇しましたが、原油安が続いている状況には変わりありません。
原油安とプロパンガスCPの関係
いつも不思議に思うのは、原油とプロパンガスCPの動きについてです。プロパンガスは原油を精製する段階で生産されるので、原油の値動きとプロパンガスのそれとは連動するのではないかと思ってきました。大筋ではそうなのですが、完全にリンクしている訳ではないですね。原油のほうは、代表的な指標であるWTI先物がずっと40ドル前後で推移してきて、その後徐々に下がり、12月18日にはおよそ7年ぶりとなる34ドル台前半という安値を記録しました。WTI原油先物は下がり続け、プロパンのCPは3ヶ月連続で上がり続けているのですからよくわかりません。
本当のところは、サウジアラムコのCP決定関与者しか知らないことなのでしょうが、想像では日本から大量の買い注文があったのかも知れません。サウジアラムコとしても需給のバランスで決めるでしょうから、買い注文が増えれば値を上げるのは当然です。誰がどういう思惑で注文を入れたかは別として、原油の供給過剰感が強まっている現状ではプロパンガスのCPがずっと上がるとは考えにくいです。1月にはまた300ドル台に戻るのではと個人的には思います。
原油安はこれからも続きそう
原油の供給過剰感は2016年も強まりそうです。今月の4日に開催されたOPECの総会でも減産は決議されなかったことをみると、サウジアラビアは原油安を容認しているようです。イランでは経済制裁が解除されれば増産に踏み切るでしょうし、米国では原油の輸出も議会で認められました。シェールオイルも生産コストの改善を重ね、40ドルを切っているのに生産は増えています。さらに米国や日本では暖冬で原油の消費は伸びそうにありません。中国やヨーロッパの経済状況も改善の兆しがないです。
プロパンガス価格はどうなるのか
プロパンガスのCPは過去2年ほど下がり続けているのに、販売店が値下げをしたという話はあまり聞きません。ある大手が1月から10円(1立方メートル当たり)下げるとの情報もありますが、その程度では不十分です。CPが上がった時はすぐ値上げするのに、下がった時は本当に動きが鈍いのはこの業界の欠点と言えるでしょう。ガソリン業界は原油の値動きにリンクしており、価格表示も小刻みに変化するので大変わかりやすいですが、プロパンガス業界は正反対です。ごくごく一部のガス会社しか対応していないのが現状です。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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