2016年2月のCP
2016年2月CPは285ドルで1月比60ドル下落
1月28日に2016年2月のサウジアラムコCPが発表されました。前年1月の345ドルに対して60ドル下落し、285ドルと前月比17.4%の大幅下落になりました。300ドルを割り込んだのは約12年振りのことです。
12年ぶりの安値
2月のCPがついに300ドルを割り込みました。平成15年に283ドルを記録して以来、実に12年ぶりのことです。CPは2012年の3月に1,230ドルを付けたことがあります。当時はイラン情勢が緊迫していました。イランの核兵器開発に疑惑が高まり、欧州や米国がイラン原油の禁輸措置を取り、イランは「制裁を加えるならホルムズ海峡を封鎖する」と反発したのが発端です。
ホルムズ海峡は、世界の原油供給の約5分の1を担っているので、これが封鎖されれば世界経済に重大な影響を及ぼします。そこで欧米は、海峡を封鎖するならイランへの軍事攻撃の可能性を示唆し、米国などの空母が何隻もペルシャ湾に集まり、中東戦争に対する危機感がピークに達しました。これが2012年の「イラン情勢の緊迫化」です。
今後のCPはどうなるのか?
あれから丁度4年が経過し、原油を取り巻く環境は大きく変化しました。2016年1月16日には、イランに対する経済制裁が解除されることになったことがイランと欧米など6カ国によって発表されました。原油の生産過剰から世界の原油がだぶついている中、やっと経済制裁から自由になったイランは増産を目指しています。経済制裁前のイランでは1日あたり400万バレルほどの生産を行っていましたが、現在は300万バレルにまで落ち込んでおり、ザンギャネ石油相は1月3日、「制裁が解除されたら半年以内に400万バレルまで増やす」と表明しています。
こうなると、原油の生産過剰は益々拍車がかかります。世界最大の産油国サウジアラビアとロシアは日量1,000万バレルを維持することを断言しており、中国経済の落ち込みで消費が減退している原油のだぶつきには歯止めがかからない状況です。
2月26日から上海で行われる、主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)では、OPECの盟主であるサウジアラビアや、非加盟国の米国やロシアを中心に供給過剰解消に向けた議論が行われる見通しですが、結束した生産調整が実現するかどうかは悲観的な状況のようで、当面は原油安&プロパンガスCP安が継続することになりそうです。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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