2016年5月のCP
2016年5月CPは325ドルで4月比5ドル上昇
4月28日に2016年5月のサウジアラムコCPが発表されました。前月4月の320ドルに対して325ドルと前月比5ドル(1.6%)上昇しました。しかし、現在の水準はかつてなかったほど低い状態が続いていることに変化はありません。
堅調な原油価格に釣られてCPがわずかに上昇
サウジアラムコのCP価格は、今年2月には過去10年間で例を見なかった285ドルまで下げました。その後徐々にわずかながらも上昇して、5月は325ドルまで上がってきました。相変わらずの原油供給過剰の中にもかかわらず、サウジアラビアは増産姿勢を変えず、経済制裁が解除されたイランは着々と増産体制を築き、アメリカのシェールオイルも企業の倒産件数は増えながらも産油量は減る様子はありません。
このような状況下では、原油もプロパンガスのCPも値上がりする要素はないように見えますが、実際には上がってきています。原油先物(WTI)価格は、2016年2月に30.32ドルまで下落しましたが、翌3月には7ドル強上げて37.55ドルまで戻しました。そこで、3月に何があったのか調べてみました。
ロイターによると、原油反騰のきっかけを作ったのはIEA(国際エネルギー機関)のようです。IEAは、「原油価格が底を打った可能性がある」との見解を表明し、その根拠として2つのポイントを挙げました。
①アメリカと他のOPEC(石油輸出国機構)非加盟国の原油生産量が急激に減少し始めた。
②イランの増産が予想ほど大規模なものではなかった。
ことの2点です。
WTI原油先物が46ドル台まで上昇、今後は?
IEAが3月11日に公表した「石油市場月報」の効果は絶大で、WTI先物価格は徐々に値上がりを始め、5月15日現在では46.30ドルまで上昇しています。さらに直近では、5月10日にEIA(米国エネルギー情報局)が今年平均(2016年)と来年平均(2017年)のWTI予測価格を発表しました。それによると、2016年平均が40.3ドル、2017年は10ドル強上昇して50.7ドルになると予測しています。
EIAの予測通りに原油価格が上がっていくのか、それとも再度下落していくのか非常に興味深いです。それは単にCP価格がどうなるのかプロパンガス価格がどうなるのか、という問題ではなく世界の経済のみならず日本の経済がどうなるのか、非常に関連性が強いからです。
今後の原油価格を占う意味で転換点となりそうなのは、6月2日(木)に予定されているOPEC(石油輸出機構)の総会です。増産凍結で合意することができるのか、あるいは4月の会議と同様決裂して終わるのか、注視してみたいと思います。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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