2016年7月のCP
2016年7月CPは295ドルで6月比35ドル下落
6月28日に2016年7月のサウジアラムコCPが発表されました。前月6月の330ドルに対して約10.4%も大幅に下落しました。これは、原油が相変わらず供給過剰状況にあることと、夏になって需要が減少することが見込まれていることが大きいようです。
高温続きがCPにも影響か
毎年非需要期の夏は下がってもおかしくはないですが、7月に35ドルも下がったのは、このところの暑さが影響しているのかもしれません。梅雨なのにあまり雨が降らず、関東のみずがめであるダムの貯水率はいずれも低下していて、北関東の降水量が少ないというこのままの状態が続くと、夏休みのプール開きの時期にも影響が出そうです。
CPの決定を左右する中国のプロパンガス需要も多くはなく、新パナマ運河が6月27日に開通したこともCPが下がった要因に挙げげられるかもしれません。
新パナマ運河の開通でプロパンガスの価格は下がるか
6月27日、運河の幅が拡張された新パナマ運河の商用利用が始まりました。これによって日本のLPG(プロパンガス)運搬船が受ける恩恵は大きいです。
従来、LPG運搬船は船幅が約36メートルもある大型船のため、これまでのパナマ運河は航行できずに、はるか喜望峰を経由して約1ヶ月半もかけて日本へ運んでいました。しかし、これからは22日から30日程度に短縮されるようです。これは船賃の大幅なコストダウンにつながります。となればプロパンガスの仕入れコストにも直結するわけですから大歓迎です。
また、単純にコストダウンにつながるだけでなく、米国産のプロパンガスのシェアが増えることにもなります。5〜6年前までは、サウジアラビアやカタールといった中東産が90%ものシェアを持っていましたが、2015年には62%まで低下したようです。米国のシェールオイルの増産によって、プロパンガスも随伴で増加するので今後はさらに下がると思われます。
そうなると、今までのようにサウジアラムコが勝っ手にCPを決めるのではなく、米国産の価格動向を伺いながら決めるようになり、サウジの思うようにはいかなくなるわけです。これまでは、中東で何か問題が発生するとそれが即CPの高騰に直結していましたが、今後は緩和されることは間違いないと思います。
すぐにプロパンガスの末端価格が下がることはなくても、2年3年というスパンで見た場合、プロパンガスの競合エネルギーに対する価格競争力は強化されるのはないでしょうか。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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