2019年5月のCP
2019年5月CPは525ドルで4月比10ドル上昇
4月30日に5月のサウジアラムコCPが発表されました。4月の515ドルに対して10ドル上昇の525ドルです。米国によるイラン産原油の禁輸除外措置を延長しないことが要因のようです。
イラン産原油の禁輸除外措置を延長しないことが主な要因
通常なら5月は暖房需要が終わりになり、少しずつCPが下がってもおかしくない時期です。しかし今年の5月は小幅ながら上がっています。
これは米国務省が4月22日に発表した、「イラン産原油の禁輸除外措置の適用除外とする特例措置を5月1日をもって撤廃する」ことが主な要因のようです。
イラン産原油の輸入がゼロになれば、当然需要に対して供給が減少することになるので、CPが押し上げられても仕方ないと思います。ただ、5月の上昇はわずか10ドルですが、このニュースにはもっととんでもなく暴騰する可能性が隠れています。
それはこういうケースです。
米国とイランの緊張が非常に高まっています
日本ではまだあまり大きなニュースになっていませんが、米国とイランの関係が急激に悪化しています。
ニューズウィーク日本版によると、5月5日、米国がイランに原子力空母エイブラハム・リンカーンを中心とする打撃群と爆撃部隊をペルシャ湾に派遣すると発表したのです。
トランプ政権は約1年前、2015年に交わした核合意からの離脱を表明して、経済制裁を復活させました。そして4月22日、イラン産原油の禁輸除外措置を打ち切ると発表しました。これは、イランの外貨獲得の主な収入源である原油輸出をできなくさせる目的です。
それに対抗してイランは、ペルシャ湾とオマーン湾の間にあるホルムズ海峡を封鎖すると警告しました。現実にそうなるかは別にして仮にホルムズ海峡が封鎖されれば、原油価格は暴騰し、プロパンガス価格も同様の上昇カーブを描くことが予想されます。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾岸諸国であるイラン、イラク、クェート、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦などの産油国が輸出するためには欠かせない海上航路です。世界の原油輸送の約20%がホルムズ海峡を経て輸出されているのです。
ちなみに、イランの原油産出量は世界全体で見るとたった1%です。この1%がなくなるだけでもCPが10ドル上がるのだから、20%が市場から減少したら20倍の200ドルでは済まないと思います。
今後イランがホルムズ海峡を封鎖し、米国艦隊が実際にイランを攻撃するようなことが起こらないことを祈るばかりです。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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