2019年6月のCP
2019年6月CPは430ドルで5月比95ドル下落
5月28日に6月のサウジアラムコCPが発表されました。5月の525ドルに対して95ドル下落の430ドルです。不需要期に入ったことと、米中貿易摩擦の影響が主な要因です。
米中貿易摩擦の影響で原油価格が下落。
プロパンのCPも同様。
米中貿易戦争が一向に収まる気配が見えません。プロパンガスのCPが100ドル近くも下がったのは不需要期に入ったこともありますが、それ以上に大きいのが米中貿易摩擦の影響です。
世界1位と2位が経済戦争をすれば、世界経済が無事でいられることはありません。米中貿易協議は4月下旬には妥結が観測されていましたが、5月初旬に中国側が妥結寸前の合意文書案に大幅な修正を加えて米国側に送りつけました。
合意内容をほごにされたと受け止めたトランプ大統領は対中関税を引き上げ、その後報復合戦がエスカレートして今に至っています。
今回の貿易戦争は、単に米国が対中国との貿易赤字を縮小させるという表面的な理由の他に、大きな狙いが隠されているようです。
その核心をご説明します。
米国では中国への危機感がマックスに
米国では、与党共和党だけでなく野党の民主党からも対中強硬策が支持されているようです。まだ総合力では差があるとはいえ、最近急速に力を付けてきている中国に対して与野党が相当な危機感を持っています。
国家主導のもと産業育成を進める中国が米国にとって経済的な脅威になる前に叩かなければならない、という機運が米国全体に充満しているのです。
トランプ大統領の狙いは、人工知能や軍事的な能力を高める最先端技術の盗用を阻止することや、開発をさせないことです。マスコミを賑わせているファーウェイ排除は、習主席の悲願である次世代通信規格「5G」で世界制覇を目指す中国に対する強烈な意思表示です。
また、関税強化によって中国からの対米輸出が困難になれば、中国に生産拠点を置いている企業には痛手です。現実にリコーやカシオ、アシックス、コマツなどは中国から労働力の安いカンボジアやベトナム、タイ、オーストラリアなどに生産拠点を移転しリスクに備えています。
結果として「世界の工場」である中国の空洞化が進めば中国経済の弱体化につながり、それが米国の戦略です。
今回のトランプ政権の覚悟は相当なものなので、貿易問題が簡単に打開することはなさそうです。少なくとも世界経済も低迷が予想され、しばらくはCPが高騰することもないのではと思います。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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