2020年6月のCP
2020年6月CPは350ドルで5月比10ドル上昇
5月31日に6月のサウジアラムコCPが発表されました。5月の340ドルに対して10ドル上昇して350ドルです。先月同様OPECプラスの協調減産や米国の減産が影響しているようです。
OPECプラスの協調減産や米国の減産がCPを下支え
6月のCPは350ドルで、前月比10ドル上昇しました。5月から大きな変化はありません。
6月8日の産経新聞によると、OPECプラス(石油輸出国機構加盟・非加盟の連合体)は、日量970万バレルの協調減産を7月も継続することで合意しました。当初は6月末までとされていたものです。これが大きな価格下支えになっています。
先月もお伝えしましたが、970万バレルは世界総需要の約10%です。そして世界は中国発のコロナウィルスの影響から復活途上にあり、原油需要が概算で30%減少していることもお伝えしました。
であれば、差し引き20%がまだダブついていることになります。しかし実際は、米国シェールオイル由来の原油生産量が大きく減少しているので、需給のバランスは思ったほど悪くはなさそうです。
原油暴落の影響で米国産原油が減少
4月20日(月)のニューヨーク原油先物市場ではWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)が、1バレルあたりマイナス37.63ドルという史上最低価格を記録しました。
この原稿を書いている6月9日現在では、1バレル38ドル台まで回復していますが、米国のエネルギー産業はこの暴落により大打撃を受けました。シェールオイルやガスを掘削すればするだけ赤字が累積する状況の中で多くの企業が撤退し、従業員を一時解雇しています。
テキサス労働力委員会は、テキサス州で石油・天然ガス業界に従事する労働者のレイオフ(一時解雇)された人数を表で公開していて、合計で2,525人に及んでいます。
企業名 | レイオフ数 |
---|---|
NexTier Oilfield Solutions | 1,041 |
Pro Petro | 584 |
Baker Hughes | 184 |
U.S. Silica | 105 |
Diamond Offshore | 102 |
Black Mountain Sand | 87 |
Covia | 82 |
Enterprice Offshore Drilling | 76 |
Sun Coast Resouces | 70 |
Shawcore Pipe Protection | 65 |
FTS International | 59 |
Sunoco LP | 55 |
Halliburton | 15 |
Total | 2,525 |
このレイオフによって、世界一の産油量を誇る米国の石油とガスがどれだけ減少するのか不明ですが、米国の主要生産地であるバーミアン盆地だけでもシェール開発に関わる企業の約60%が、リグ(石油掘削装置)の稼働停止に追い込まれているとのことです。
これからプロパンガスの需要が減少する夏季シーズンに入りますが、世界の経済が少しずつ回復していく中で米国シェール産業がどうなっていくのか注視したいところです。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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