2020年7月のCP
2020年7月CPは360ドルで6月比10ドル上昇
6月30日に7月のサウジアラムコCPが発表されました。6月の350ドルに対して10ドル上昇して360ドルです。上げ下げの要因が交錯する中わずかに上昇しました。
上げ要因と下げ要因が交錯
上げ要因は米国石油掘削リグ数減とOPECプラス協調減産延長
上げ要因としては、米国の石油掘削リグ数の低下が大きいです。
6月26日のロイターによりますと、ベーカー・ヒューズ社が発表した米国の石油掘削装置(リグ)の稼働数が激減しています。6月26日までの週は、米国内のリグ稼働数は188基で、これは2009年6月以来の低水準だそうです。
出典:Investing.comサイトより
ニューヨークの原油先物市場では、4月20日にWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)が、1バレルあたりマイナス37.63ドルという史上最低価格を記録したことは先月お知らせしました。その後6月9日には38ドル台まで回復し、本日(7月10日)現在では39ドル台半ばで推移しています。
このように徐々に値を戻しつつあるので、近い将来掘削リグ数が再び増加に転じるとは思われますが、米国の産油量の減少が需給のバランスにつながり7月CPの上昇につながっています。
もう一つの上げ要因は、OPECプラスの協調減産の延長です。
OPECプラスは現在、日量970万バレル規模の協調減産を続けています。当初は6月末までの予定でしたが7月も延長することで決まっています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で広く世界の経済活動が制限されており、原油需要の回復が遅れていることに対応するものです。
下げ要因は武漢ウイルスによる経済停滞と米国原油在庫の増加
一方、下げ要因も2つあります。
一つは米国における新型コロナウイルスの影響です。米国では再び感染者数が急増してきたために、景気の先行き不透明感が高まり原油価格の下押し要因になっています。
二つ目は、米国の原油在庫の増加です。
6月10日付けロイターによると、米エネルギー情報局(EIA)は、原油在庫が5億3,810万バレルと過去最高を記録したと発表しました。
上げ要因と下げ要因が交錯している現状では、少なくとも今年の夏は大きな動きはなさそうですが、引き続きOPECによる減産の動きと、米国シェールオイル・ガス生産量や新型コロナウイルスには注視したいと思います。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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