2021年7月のCP
2021年7月CPは620ドルで6月比90ドル上昇
6月29日に7月のサウジアラムコCPが発表されました。6月の530ドルに対し90ドル上昇の620ドル。ワクチン接種の拡大で経済正常化への期待が主な要因です。
CPが90ドル上昇でガス会社の値上げ始まる
IEA(国際エネルギー機関)も需要回復予測
CPが90ドル上昇しました。
要因は2つあります。1つはワクチン接種が進んで世界経済が回復するのではないかという期待です。IEA(国際エネルギー機関)も、世界の原油需要が2022年の末までにはコロナウィルス流行前の水準に戻るのではないかと予測したようです。
もう1つは、プロパンガスの不需要期ながら、中国のPDH技術を活用した石油化学プラントなどの旺盛な需要が堅調なことです。
結果として、国内のプロパンガス会社が早くも値上げを始めたとの情報が入ってきています。CPが90ドル上がったなら値上げすること自体はおかしくはないのですが、プロパンガス業界の問題はCPが下がった時に値下げしないことです。
これは、どのガス会社であっても同じようなことをしています。
ガソリンだったら価格が店頭に表示されているし、原価が下がったのに自社だけとぼけている訳にはいきませんが、プロパンガスのCPは街中で見かけることはありませんから、下げなくても誰も気付かないのです。
このCP速報は毎月更新していますから、時々値動きをご確認ください。
同時に、ぜひ「料金自動診断」を時々行って、不当な値上げをされていないかどうか確認することを強くお奨めします!
家庭用エネルギーだけではないプロパンガスの需要
実は、プロパンガスは燃やすだけが用途ではありません。
プロパンガスは脱水素化(PDH技術)するとプロピレンなどを生産することができます。近年の中国では、このPDH技術を活用した石油化学プラントが盛況です。生産されたプロピレンは、合成樹脂やアクリル繊維の原料として利用されます。
7月に入って暑くなり、お風呂の給湯エネルギーとしての需要は冬季の半分かそれ以下になるので、もっとプロパンガスがダブついてもおかしくないと考える方は多いと思いますが、意外な用途でプロパンガスの需要が堅調なのです。
コロナウィルスの影響で飲食店などでアクリル板の需要が増えていますが、アクリル繊維は洋服などでもたくさん使われます。
アクリル生地は、ウールに似てふっくらとした柔らかく温かいのが特徴です。皆さんが着ているニットは、もしかしたらプロパンガスから作られているかもしれません。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。