2022年11月のCP
2022年11月CPは610ドルで10月比20ドル上昇
10月31日に11月のサウジアラムコCPが発表されました。10月の590ドルに対し20ドル上昇の610ドル。CP上昇の要因は、極東アジアが需要期に入ったことと中国PDH事業の復活です。
CPは20ドル上昇もMBが72ドル下落で販売価格は変化なし
CPは20ドル上昇
今月からはCPに加えてMBの動きもレポートします。
これまで当協会は、プロパンガスの仕入れ価格をほぼCP一本に絞ってレポートしてきました。11月からは、CPとMBの二本立てとします。前半はCPの動きを報告し、後半はMBの動きを報告します。
昔は、CPだけで価格が決まっていましたが、2018年からはMBが加わりました。MBというのは米国産のプロパンガスで、モントベルビュー価格(テキサス州モントベルビュー)のことです。
プロパンガスの元売り(アストモスエネルギー、ENEOSグループ、ジクシス)3社は、プロパンガスの原価を計算する際、従来はCPだけを根拠としてきましたが、2018年からはMBを加えて算出するようになりました。
算出の際の比率は、主にCPが70%、MBが30%です。CPが大半ではあるもののMBも30%を占めるので、両方の動きを伝えることが良いとの判断をしました。
プロパンガスの原価=(CP70%+MB30%)×ドル円レート
プロパンガスの原価は、超簡単に式で表すと上記のようになります。
CPが20ドル上昇した原因を簡単にご説明しますと、プロパンガスの需要期に入ったことが1つと、中国のPDH(プロパン脱水素:Propane Dehydrogenation)事業のマージンが改善されたことで、需要が増加してきたことによるようです。
MBは先月比76ドル下落の442ドル
MBの値動きは、CPとは全く異なるものです。
CPは、中国や日本、韓国などの主なプロパンガス消費国の需要に影響されますが、MBはもっぱら米国内の需要によって上下します。
米国でも10月からは需要期に入ってきますが、このところ温暖な気候が続き、需要は低迷しているようです。全米のプロパンガス在庫は32週連続で増加しており、9週間連続で前年同期比を上回っているとのことです。結果として10月の平均価格は9月よりも76ドル下落して442ドルになっています。
ちなみに、CPは10月末に11月分の価格が通告されますが、MBは毎日の取引価格の平均が翌月の初めに発表されます。ですので、プロパンガスの原価もCPは当月分が使用され、MBは前月分が使用されます。
プロパンガスの販売価格はどうなる?
CPは20ドル上昇したものの、MBは76ドル下落。では販売価格はどうなるのか?
MBは大きく下がりましたが、算出計算に占める比率が30%なので影響が小さいのと、円安が進行している関係であまり販売価格には変化が見込めない状況です。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
ガス代最大50%安く!