2023年2月のCP
2023年2月CPは790ドルで1月比200ドル高騰
1月31日に2月のサウジアラムコCPが発表されました。1月の590ドルに対し200ドル上昇の790ドル。1月のMB平均価格は、12月の357ドルから81ドル上げて438ドルでした。
気温低下と中東からの供給不足から約34%高騰
CP高騰の最大の要因は中東産の供給減少
先月まで下落基調だったCPが一気に200ドル上昇して790ドルになりました。
原因は大きく分けて2つありますが、最大の要因は中東からの供給の減少です。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の石油コンビナートの原油精製装置や貯蔵タンクが定期修理に入ったことで、プロパンの出荷量が大幅に減少したようです。
通常、原油精製装置や貯蔵タンクは24時間連続運転で1年とか2年、あるいはもっと長い間稼働し続ける設備のようですが、一旦定期修理に入ると、およそ2カ月間は稼働が全停止します。そうすると、ガソリンやプロパンガスの商品化がストップしてしまいます。
<定期修理の主な作業内容>
- 貯蔵用の大型タンクや熱交換器など静止機器の開放点検と清掃作業
- 圧縮機やポンプなど回転機の分解・整備作業
- 配管・弁など配管部品の開放・点検清掃作業
- 計測器・センサーなど計器類の点検整備作業
- その他の付帯作業
これらの作業に期間中は毎日千人単位の作業者が従事するという、大変大がかりな定期点検・修理作業です。
サウジアラビアとUAEにどれくらいの設備があり、何割が定期修理中なのかは分かりませんが、CPが200ドルも上がってしまったということは、結構なウェイトを占めているのだろうと思います。この定期修理が終わるのは2〜3カ月後くらいとの事ですので、しばらく高値は続きそうです。
もう1つの高騰要因は季節的なものです。
極東アジア(日本・中国・韓国など)に、正月明けからこの10年で最強と言われる寒波が襲来しました。この影響で風呂の給湯用や暖房用のプロパンガス需要が高まり、供給減少と重なってCPの急騰につながったようです。
MBも原油高に釣られて22.7%上昇
MBは10カ月ぶりの上昇です。
全米での在庫が高水準にあるMBは、9カ月連続で値を下げてきました。しかし、中東の設備定期修理を原因とする供給減少による価格高騰に釣られ、一転して22.7%(81ドル)も上昇しました。
2月は、CPが200ドル、MBも81ドル上げましたが、幸い為替レートが円高に振れているおかげで、プロパンガス消費者に対する値上げがあるかどうかはまだ未定です。
1月の月初のドル円は132.63円でしたが、2月1日の終値は128.84円で4円近く円高でした。
ガス会社が値上げするような情報が入れば、次回で報告します。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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