2023年7月のCP
2023年7月CPは400ドルで6月比50ドル下落
6月26日に7月のサウジアラムコCPが発表されました。6月の450ドルから50ドル下落の400ドル。また、6月のMB平均価格も、5月の334ドルから40ドル下げて294ドルでした。
夏場の需要減と併せ供給が潤沢でCP・MBともに下落
6月の中東からのプロパン輸出量も5月並み
6月、中東からのプロパンガス輸出量が予想以上に増えたようです。
前号で、サウジアラビア国内の石油化学設備にトラブルが発生し、プロピレンを製造する原料としてのプロパンガスが使われない状況が続いているとお知らせしました。
6月の中東からのプロパンガス輸出量が、5月と比較して減っていないところをみると、製造設備の修繕作業が6月も継続して行われていたようです。
修繕作業が行われている間は、プロパンガスが使われずその分は輸出に回るので需給のバランスが緩み、CPも下がることになります。
結果として、今年は2月の790ドルをピークに、7月までの5カ月間で約半額の400ドルまで下がってきました。本来なら消費者価格も下がって良い環境ですが、ドルに対して円が140円前後まで下がっていることから値下げまでには至っていない状況です。
中国のPDH事業が好調でCP価格を下支え
プロパンガスも原油も、価格の変動は単純な要因だけではありません。
プロパンガスのCPも、日々世界中で起きている様々な事件や戦争、気候変動、経済変動などによりめまぐるしい動きをしています。価格の上げ要因と下げ要因とが複雑に絡み合っているのです。
今回は、上げ要因の1つであるPDH事業について解説します。
このCP速報では過去何回か取り上げていますが、具体的な製品を取り上げたことは初めてです。PDH事業による製品は私たちの身の回りにたくさん存在していますが、実際は、私たちが気付いていないだけなのですね。
画像は、プロパンガスを原料として製品化された「収納ケース」です。
PDHとは、Propane dehydrogenationの略でプロパン脱水素装置のことです。プロパンを脱水素化して、プロピレンを生成し、これを原料としてポリプロピレンを作り、製品化するとこうなります。プロパンガスが収納ケースになるなんて、ちょっと想像できないですよね。
ポリプロピレンは熱に強く、半透明なので中身が透けて見える収納ケースにはピッタリです。
MBも原油の下落と高水準在庫で昨年同月比半額以下に
6月の平均MBは、5月の334ドルから40ドル下げて294ドルでした。
米国の輸出は引き続き好調でしたが、夏場の不需要期に入ったため需要は低迷しました。全米のプロパン在庫は増加し、昨対比で40%増しになったようです。
昨年の6月のMBは632ドルだったので、昨対比46.5%。半額以下の低い水準になっています。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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